例えば、開業医の先生からの紹介患者さんが入院したとすると、、、
患者さんが外来に来る。お体を拝見する。
①検査のための同意書をいただく。検査をする。
入院が決まる。②紹介してくださった開業医の先生にご報告書を書く。
③入院診療計画書を書く。④入院時病歴の書類を書く。
⑤治療のための処置の同意書をいただく。⑥治療のお薬の同意書をいただく。
⑦ご本人ご家族に病状経過説明書でご説明する。
治療する。良くなった!⑧退院療養計画書を書く。
⑨退院証明書を書く。⑩退院病歴を書く。
⑪紹介医の先生に退院報告書を書く。
とまあこんな感じ。平均在院日数が10日と少し。一日1~3人の患者さんが入れ替わる。
茶色のところが必要最小限の医師の仕事。
今は、医師の仕事は書類書きのほうが多い。
なんだかんだいってさぼっていて、この歳になるまでまだ資格を取っていなかった。
というわけで重い腰をあげて、今資格試験の準備を始めたところ。
日常の診療業務の間に勉強するので、思うようにははかどらない。
でも、今までの知識を整理整頓して、新しい知見を吸収して、
お勉強も好きなことだと楽しいです。
でも、苦手な分野もやらなきゃいけないんだよなぁ。頭痛いなぁ。
試験までまる一年。できるだけ時間を見つけてコツコツ準備です。
この資格試験が終わったら、次はもっと難しい資格試験を受けることができます。
だから、落ちるわけには…。がんばろ~!お~!
交通量も多くて通勤がつらい。
いやはや初日直。へろへろになって終了しました。
小児科の先生がいらしてくださって、子供を見なくて済んだこと、
救急部の先生が心配して手伝いに来てくださったこと、
研修医の先生がとってもまじめで、優秀だったこと、
スタッフがよくできるスタッフで、きびきびと動いてくれたこと、
などなどに支えられて何とか無事(?)お勤めを果たしました。
まず救急隊からの直通コールがある時間帯に集中し、
次々連絡が殺到。ちょっとびっくり。
自治体病院なので、地元の救急隊のコールは、断らないことになっています。
(つまり、地元の救急車はすべて引き受ける。)
幸い救急車で来た方は大したことがなくほっ。
開けてみれば緊急入院は二人、緊急手術は一人。
外科の先生がすぐ駆け付けてくれて、そのまま手術へ。
病棟では、日直が終わるまで、無事に緊急入院患者を手際よく看護しててくれました。
そちらの指示、事務処理を終えるとすっかりどっぷり夜となってしまっていました。
幸運なのは、スタッフに恵まれた病院なのだということであります。
みなさんありがとう。お疲れ様でした。またよろしくね♪
ということで皆さんがお祝いに駆けつけてくださいました。
クローン病の方。まあ落ち着いています。お薬をお出ししてお返しできました。
病棟に入院のリンパ腫の方。すぐ治療です。
急性肝炎の方。こりゃ入院です。
緩和医療スタッフミーティング。
胃瘻造設依頼。手が回りません。ほかのドクターに応援を依頼です。
夕方になってやっと、売店で取り置いてもらっているお弁当を詰め込みます。
まだまだ長丁場。
総胆管結石!緊急内視鏡手術です。ほかのドクターに応援要請です。
病棟では化学療法の方、不明熱の方、出血性胃潰瘍、癌性疼痛、
それぞれ必要な対応をしていきます。
気がつくとかいけを迎えに行く時間。タイムアップです。
カルテはほとんど一行しか書けませんでした。。。
明日書こう。とは思うのですが、、、。
明日は救急当番の日直デビューです。どれだけの患者さんが
祝福に駆け付けてくださるのか、今から心配です。
最近では、いっぱい良いお薬が出てきて痛みはかなり取ることができます。
今入院していらっしゃる患者さん(仮にAさんとします)。
Aさんの病気は痛いと有名な膵がんです。
ベッドサイドでの会話です。
かいけママ「ここの痛みはどうですか?どれくらい痛みますか?」
Aさん 「ほんのりほんのり」
しかし、温度板(患者さんの状態を記録した経過表)を見ると食事が進まない様子。
かいけママ「今日はどれくらい痛みますか?」
Aさん 「あちこち向きを変えれば、我慢できないほどではないの。」
かいけママ「!!!」
ということで、Aさんにはしっかりと効く痛み止めを処方しました。次の朝、
かいけママ「お薬はどうですか?」
Aさん 「楽になったね。良くなった。私は昔の人だから…」
どうやら昔の人は我慢強いです。
でもどういうわけか食事が進みません。あとでわかったことですが、
Aさんには食べやすいようにとお粥が出ていたのですが、
ごはんが好きなんですって。Aさん、奥ゆかしすぎます。
病院では、辛いことは我慢しちゃいけません。
そんなAさんの症状が楽になるよう、いろいろ工夫してみる今日この頃です。
今日でお仕事終了。
最後に"Termination"と言う手続きがあります。
仕事始めの時に"Process in"というのがあって、
インタビュー、教育ビデオ、健康診断、ID発行、税金、保険、駐車場、
名前つき白衣の受け取り、鍵の受け取り、指紋採取、コンピューターのセットアップ
等々の手続きをしました。問題点は、各手続きのために、違うビルディングを
訪問する必要があることです。地図を片手にうろうろ歩き回りました。
今回は、逆の作業をしていきます。
スタンプラリーのような用紙をもらい、インタビュー、図書館の返却確認、
IDの返却、駐車許可証の返却、鍵の返却、白衣の返却、税金用の書類とお給料の受け取り手配、
コンピューターIDの返却、同窓会への住所変更手続きならびにお土産の受け取り等々のために
色々なビルディングをさまよいます。そして、各部署でサインをもらいます。
スタンプラリーを終了して、サインで用紙が埋まると最後のお給料がもらえます。
普通は郵送されるらしいのですが、外国に旅立つことを告げておいたので、
手渡しで受け取ることが出来ました。
さて、いよいよアメリカ生活もおしまいです。
"Termination"のインタビューで、「英語上手ね」とほめていただきました。
まぁ、お世辞だとは分かっているのですが、うれしかったです。
実は、この同じドクターから"Process in"の時に
「○×さんは(別のフェロー)英語の問題はないです。かいけママさんは
英会話教室に通う必要があります。」と言われたのです。
今回、「あなたに英会話教室に通えと言われたので、英語を勉強したんです。」
と答えたら、「そんなこと言った?」と聞かれたので、力強く「そ~なんです」と
答えておきました。最初に、他のフェローと比較され、英語を勉強しろと言われて
悔しい思いをしたことが払拭されたようなそんな気がしたインタビューでした。
3年間、それなりにたくましくなったかな。
福島県での医師の不当逮捕劇から一年が過ぎたそうです。
まず、亡くなられた患者さんの御冥福をお祈りいたします。
関連記事を読んでみると、この産婦人科医は出来る限り精一杯のことをしたと思います。
逮捕されなければならないようなことをしたとは、とてもとても理解できません。
現在裁判の最中とのことですが、心労はいかばかりかと思います。
どうぞ一日も早く無罪の判決を得て、汚名を晴らすことができるようお祈りしています。
この事件は、海外に住んでいても、とてもショッキングな出来事でした。
日本の医療崩壊が加速していることが伺え、しかし、現場の様子が分からず、
なんとも不安を掻き立てられました。本当に日本の医療は
まっしぐらに終焉に向かっているように思えてなりません。
英語の先生に、「アメリカの有名な病院が、東京に分院を作ったんですって。すばらしいわね。」
と言われました。しかし、私は、素直に素晴らしいとは同意できませんでした。
いずれ現存の病院は消えうせて、そこにこう言った外からの病院が取って代わる様子が想像されました。
さて、話を福島での事件に戻すと、私が思うのは、人間と言うのは千差万別と言うことです。
人によって何もかも全く違います。人は機械ではありませんので、教科書に書いてある通りに治療しても、
それによって起こる反応は人さまざまです。予想できない事態も起こりえます。
その事態も予測して、準備して治療に望みますが、まれに想定外の事態も起こりえます。
そのような状況下でも、あきらめず、出来るだけ冷静に、できることをしなければなりません。
そして、事件の報告を読む限り、この医師は御自分のできる限りの手を尽くされたように思えます。
医師は患者さんが治るお手伝いをします。でも、場合によっては、
いくら医療の力を集結しても救うことの出来ない命があります。
その時悲しいのは、患者さん本人ですし、御家族の方です。
しかし、医師も現代の医学の、自分の経験と知識の、限界を感じ、非常に悔しいし悲しい思いをします。
何としてでも助けたいというのは、医師側も思うことなのです。
患者さんを目の前にしたら、命を救うためにできる限りをする。
現場の医師は、毎日これで精一杯なのが現状だと思います。
そのような医師の一人であったこの産婦人科医の方の逮捕は恐ろしいことです。
これからは、まず、「今ここで自分たちが治療したら逮捕されないか、訴訟されないか」を
判断してから治療しなければならないように変わっていくでしょう。
患者さんがどんなに痛がっていても、苦しんでいても、同意書にサインしてからでないと、
治療を全く始められない事態がやってくるでしょう。
・・・それが救命のためのゴールデンタイムに影響するとしても。
本当に今までのような善良な医療では、日本の医師は生き残れないのでしょう。。。
現存の医療の終焉、それが警察やマスコミ、そして政治家の求めるものなのでしょうか?
それは本当に我々国民一人一人のためになるのでしょうか?
医師というのは本当に安いお給料で、長い時間肉体・頭脳労働を強いられ、
常に逮捕される危険と背中合わせという恐ろしく理不尽な職業だと、
この逮捕事件は痛切に教えてくれました。
これから日本に帰って、この過酷なお仕事に戻ります(正直、恐ろしいですが)。
患者さんがいる限り、自分に出来ることがある限り、誠意を持ってお仕事をするしか有りません。
まずこの裁判で無罪が認められ、無能な厚生労働省が立て直され、医療保険も見直され、
不勉強な警察やマスコミがきちんとお勉強し、患者さん自身も十分知識を得て、
医師ももっと勉強と情報発信して、少しでも現在の荒廃した医療が立て直されますように。。。
などとつらつら考えている一周年の日でした。
アメリカで濡れた猫を電子レンジで乾かした人が、猫が死んだのは、
「取扱説明書に『猫を乾かしてはいけません』と言う記載がなかったからだ」
と主張して電子レンジを作った会社に損害賠償を迫ったと言う話を以前聞いたことがあります。
今日聞いたのは、泥棒が屋根から侵入しようとして、未修理の屋根から落ちて、
骨折した場合、「屋根をきちんと手入れしていなかったのが悪い」とこちらも治療費を請求し
民事裁判をしたと言う話。そんなことで訴えるアメリカ。。。
子供をベビーシッターに預けている間に40℃の発熱があり、救急に連れて行ったとします。
アメリカでは、両親の署名が無いと、ベビーシッターさんに連れて行かれた子供は
治療を受けることが出来ないそうです。
私もERを受信した時、書類を書かないと治療を開始してもらえないと言うことを身をもって体験しました。
さて、そんな訴訟だらけのアメリカ。医療提供者である医者はと言うともちろん保険が必須です。
これをMedical Malpractice Insuranceといいます。チラッと下のサイトを見ていただくと分かりますが、http://www.medicaljustice.com/medical-malpractice-insurance-quote.asp
例えば、かいけパパのような心臓外科医の場合、一年に最低の保障で$1,500.00かかります。
もちろん保障は無制限にしておいた方が安心、そうすると年額は$4,875.00となります。
日本円にすると今日は120.78円=$1.00ですから、58万8千8百2.5円の掛け金です。
ざっと計算して日本の医師賠償損害保険の10倍です。産婦人科はじめ外科系の医師の
掛け金は、他の医師よりも高めになっています。これは、訴えられる確立が多いからです。
また、聞いた話によると、どの医者が何回訴えられているかを患者さんは知ることが出来るそうです。
さて、表題の日本での医療を再開する予定のかいけパパとかいけママ。
今の日本の医療崩壊の現状がどの程度なのか、いまいち体感できませんが、
ニュースで聞こえてくる分には相当ひどいようです。日本の医師保険もすぐに値上がりするでしょう。
また、診療前には「訴えません」と言う書類に署名捺印してもらってからでないと
治療を開始することが出来なくなる日が近いようです。
患者さんを治療する前に、まず身の安全を確保しないといけないわけです。
とにかく、今までみたいに身を粉にして患者さんのために必死に働くだけでは
医師としては生き残れないみたいですね。。。なんか気が滅入ってきます。
| 11 | 2025/12 | 01 |
| S | M | T | W | T | F | S |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |
| 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 |
| 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 |
| 28 | 29 | 30 | 31 |
いつの間にやらかいけは大学生。
全く手がかからなくなり、趣味に邁進中。
ヨガと体作りにすっかりはまりました~
日々マイペースに楽しんでいます♪
